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永井豪の漫画をはじめて読むなら、最初の一作は『デビルマン』にしましょう。電子版なら全5冊で終わる物語で、のちの永井作品を読むときの物差しになります。マジンガーもキューティーハニーも気になるはずですが、今日のところは一作だけ。

海辺の高台に立つ道標と、稲妻の雲、遠くの歯車、明るい丘へ分かれていく三本の道のイラスト

読み始めるのに、いまはちょうどよい時期です。2024年1月1日の能登半島地震で、輪島市の永井豪記念館は被災しました。展示物は焼失したと思われていたのに、外壁が真っ黒に燃えた建物の中から、原画108点とフィギュア類が見つかります。被災時に記念館で展示されていた作品を中心にした展覧会「不滅の力 永井豪 ―永井豪記念館リバイバル―」が、2026年11月28日から2027年1月11日まで京都文化博物館で開催される予定です。

この記事の読み方:ここで案内する順番は公式が定めたものではなく、はじめての人が迷わないように組んだものです。冊数はebookjapanの電子版で、2026年11月5日の確認です。配信は変わることがあります。「読み終えた人へ」の節だけ物語の核心に触れ、それより前の節は結末を明かしません。描写にも幅があります。『デビルマン』はホラーを主題にした作品で残酷な場面があり、『バイオレンスジャック』は暴力の支配する世界を描きます。『ハレンチ学園』『キューティーハニー』には性的な描写があり、『デビルマンレディー』『あばしり一家』にはebookjapanが暴力的または性的な描写についての注意書きを載せています。

はじめての人におすすめの読む順番

『デビルマン』を読んだら、次は三つの系統から一つだけ選びます。全部を順に追う必要はありません。

順番読むもの分量の目安こんな人に
最初デビルマン全5冊全員。悪魔の力を身につけた少年の物語です
次・悪魔の系統新デビルマン→魔王ダンテ→デビルマンレディー→バイオレンスジャック1冊→3冊→17冊→45冊『デビルマン』が気に入って、悪魔の話をもっと読みたい人
次・ロボットの系統マジンガーZ→グレートマジンガー、またはゲッターロボの連作5冊→2冊、ゲッターは5作で15冊アニメで知っている作品の原点を読みたい人
次・笑いの系統ハレンチ学園、あばしり一家、キューティーハニー11冊、15冊、4冊暗い話が続いて、別の顔を見たくなった人
締め激マン!デビルマンの章全6冊『デビルマン』を読み終えた人。作者の自伝的な漫画です

悪魔の系統は、後ろへ行くほど長くなります。『バイオレンスジャック』の45冊は腰を据える分量なので、最初の候補からは外して大丈夫です。もし続き物が苦手なら、『デビルマン』のあとは1冊で読める『新デビルマン』を試してください。不動明と飛鳥了が時空を超えて歴史上の人物と出会う外伝です。

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悪魔もロボットも、3年あまりの間に生まれた

永井作品に発表順で手を付けると、すぐ混乱します。系統の違う代表作が、ほとんど同じ時期に始まっているからです。ダイナミック企画の公式作品一覧などから、始まりを並べてみます。

開始作品掲載誌
1971年魔王ダンテぼくらマガジン
1972年6月デビルマン週刊少年マガジン
1972年10月マジンガーZ週刊少年ジャンプ
1973年7月バイオレンスジャック週刊少年マガジン
1973年10月キューティーハニー週刊少年チャンピオン
1974年4月ゲッターロボ(作画は石川賢)週刊少年サンデー

『デビルマン』と『マジンガーZ』は、1972年10月から翌年6月まで別々の週刊誌で同時に連載されていました。悪魔の話と巨大ロボットの話を、同じ時期に同じ人が描いていたわけです。作品どうしが一本の物語でつながっているのではないので、年表を頭から追っても話は続きません。気になる系統から入るほうが素直です。

悪魔の系統の根にあるのは『魔王ダンテ』です。『デビルマン』は、この作品を土台に「悪魔をヒーローとした作品」として設定が組まれました。1971年の連載は掲載誌の休刊で未完に終わり、2002年からのリメイクで完結しました。順番としては『デビルマン』のあとに、原型をたどるつもりで読むのがおすすめです。同じ題名で中身の違う物語があるので、電子版は試し読みで確かめてから選びましょう。

「原作」の意味が、作品ごとに違う

永井作品で一番ややこしいのは、漫画とアニメの関係が作品によって違うことです。アニメの記憶を持って漫画を開くと、別の話に見えて驚くかもしれません。それは記憶違いとは限らないのです。

作品漫画とアニメの関係
デビルマン漫画の連載とテレビアニメの放送が同じ時期です。どちらかがどちらかの原作というより、同じ基本設定から生まれた二つの作品に近い関係です
マジンガーZアニメが主導した作品です。『週刊少年ジャンプ』の連載は「つづきはテレビで見てね!」の呼びかけで終わり、『テレビマガジン』の連載で物語と設定が仕切り直されました
ゲッターロボ東映のプロデューサーの依頼から生まれたとされる企画です。原作の名義は永井豪、漫画を描いたのは石川賢で、漫画は早い段階からアニメと大きく違っていました

つまり「原作の漫画を読めばアニメの答え合わせができる」とは考えないほうが楽しめます。同じ名前の、別の物語を読みに行くくらいの気持ちで開いてください。

『デビルマン』と『マジンガーZ』は版で中身が変わる

買う前に一番確かめたいのが、ここです。『デビルマン』は単行本になるたびに手が入っていて、大きく三つの系統があり、ほかに記念の版もあります。

系統主な版特徴
オリジナル版講談社コミックス全5巻、完全復刻版全5巻、デビルマン-THE FIRST-全3巻『新デビルマン』を含まない形です。THE FIRSTは連載当時の状態をできるだけ再現した版です
加筆修正版豪華愛蔵版全5巻、1997年の講談社漫画文庫全5巻、新装版全4巻『新デビルマン』を本編に組み込み、再構成して加筆しています
改訂版改訂版全4巻(2012年)連載40周年を迎えるにあたって再構成されたものです
記念の版画業50周年愛蔵版全5巻(2017年)永井さんの画業が半世紀になるのを記念して、小学館から刊行されました

はじめてなら、オリジナル版の系統をおすすめします。話の流れが連載のときのままで、『新デビルマン』はあとから別に読めるからです。加筆の背景には、連載当時は多忙でアシスタントの事情もあり、出来に不満が残ったという永井さん自身の思いがあります。読み比べるなら、そのあとで十分です。

電子版は、ebookjapanに『デビルマン』全5冊と『新デビルマン』が別々に並んでいます。どの版を底本にしているかは作品ページだけでは分かりにくいので、試し読みで確かめてから買うと安心です。

『マジンガーZ』は、もっと入り組んでいます。古い単行本には『週刊少年ジャンプ』版と『テレビマガジン』版を混ぜて収録したものがあり、順番が前後するうえに未収録の回もありました。両方の連載が連載時に忠実な順序で収められたのは、1999年の講談社漫画文庫が最初とされます。いま連載の順に読みたいなら、2009年の『新装版 マジンガーZ オリジナルver.』全4巻が候補です。講談社の収録一覧では、『週刊少年ジャンプ』の第1回から順に並び、最終巻の後半に『テレビマガジン』の全13話が入っています。一方、2013年から2014年に出た『改訂版 マジンガーZ』全4巻は、全話を収めたうえで順序を大きく入れ替え、『マジンガーZ』の物語として完結させています。一つの話として最後まで読みたい人には、こちらが向いています。

ゲッターロボは発表順で読む

『ゲッターロボ』の連作は、物語の時間の順番と発表された順番が入れ替わっています。

発表順作品発表冊数
1ゲッターロボ1974年〜3冊
2ゲッターロボG1975年〜2冊
3ゲッターロボ號1991年〜5冊
4真ゲッターロボ1997年〜2冊
5ゲッターロボ アーク2001年〜3冊

物語の時間では『真ゲッターロボ』が『G』と『號』の間に入ります。それでも、はじめて読むなら発表順をおすすめします。『真ゲッターロボ』は『號』の作中で謎だった出来事の真相を明かす作品なので、先に読むと『號』の謎が謎でなくなってしまうからです。ただ、シリーズをまとめた『ゲッターロボサーガ』では、『號』の一部が『真』に合わせて描き直されています。読む版によって、謎の残り方は少し変わります。

ひとつ先に知っておきたいのは、この連作に終わりがないことです。『アーク』は掲載誌の休刊で連載が終わり、石川賢さんは2006年に亡くなりました。本流の物語は未完のままです。結末まで読みたい人は、それを承知で手に取ってください。

笑いの系統は『ハレンチ学園』と『キューティーハニー』から

永井豪の出世作は、悪魔でもロボットでもなく『ハレンチ学園』でした。『週刊少年ジャンプ』の創刊号に読み切りで載り、人気を得て連載になった作品です。1970年に新聞が紹介すると騒ぎは広がったとみられ、性描写と教師批判が問題とされて、各地のPTAや教育委員会から編集部へ苦情が寄せられました。擁護の声もありました。今の感覚では受け入れにくい場面もあります。その前提で読むと、『デビルマン』の作者が少年誌で何を破ってきたのかが見えてきます。

『キューティーハニー』は、変身する少女型アンドロイドが主人公のアクションです。全4冊と短いので、笑いの系統の入口にはこちらが手軽です。

アニメで観た人へ

1972年のテレビアニメ『デビルマン』は、原則として一話完結のヒーローものでした。一方、漫画はホラーを主題に、連載が進むにつれて大きな物語へ変わっていきます。テレビ版の記憶しかないなら、同じ題名の別の作品だと思って読むくらいでちょうどよいでしょう。

2018年の『DEVILMAN crybaby』から入った人は、話の骨格を知っているはずです。それでも、1970年代の絵と言葉で読むと印象は変わるはずです。まずは1冊目を開いてみましょう。続きを読むかどうかは、そこで決めれば十分です。

読み終えた人へ(ここから核心に触れます)

『デビルマン』を読み終えてから開いてください。悪魔の系統を追う理由は、ここにあります。

『バイオレンスジャック』は『デビルマン』の連載が終わった直後に始まりました。関東の大地震のあとの無法地帯を描く物語で、当初は『デビルマン』とのつながりは示されていません。ところが1990年の結末で、全編が漫画版『デビルマン』の後日談だったことになります。中断をはさみながら17年続いた末に物語が帰ってくるわけで、永井さん自身も思っていなかった着地だったとされています。45冊の先にこれが待っていると知って読むか、知らずに読むかは、好みで選んでください。

『デビルマンレディー』も、はじめは続編と言われていませんでした。『デビルマン』という漫画が広く知られている世界の出来事として始まり、中盤から本編と結びついていきます。

最後に読みたいのが『激マン!』の「デビルマンの章」です。主人公は永井豪をモデルにした漫画家で、連載の舞台裏が描かれます。作中の『デビルマン』は再録ではなく新しく描き下ろされたものなので、読み終えた人には同じ場面をもう一度見る体験になります。

参考(2026年11月5日確認)

  1. 「不滅の力 永井豪 ―永井豪記念館リバイバル―」公式サイト — https://nagaigo-eternalspirits-exh.com/
  2. ダイナミック企画 オフィシャルサイト「作品一覧」 — https://mazin-go.com/works
  3. 講談社「新装版 マジンガーZ オリジナルver.(1)」 — https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000042816
  4. 講談社「新装版 マジンガーZ オリジナルver.(4)」 — https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000042821
  5. ebookjapan「デビルマン」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/100598/
  6. ebookjapan「マジンガーZ」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/101337/
  7. ebookjapan「ゲッターロボ」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/121721/
  8. ebookjapan「バイオレンスジャック」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/101969/
  9. ebookjapan「デビルマンレディー」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/108213/
  10. ebookjapan「あばしり一家」 — https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/100591/
  11. Wikipedia「デビルマン」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/デビルマン
  12. Wikipedia「マジンガーZ」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/マジンガーZ
  13. Wikipedia「ゲッターロボ」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲッターロボ
  14. Wikipedia「ゲッターロボサーガ」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲッターロボサーガ
  15. Wikipedia「真ゲッターロボ」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/真ゲッターロボ
  16. Wikipedia「バイオレンスジャック」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/バイオレンスジャック
  17. Wikipedia「魔王ダンテ」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/魔王ダンテ
  18. Wikipedia「ハレンチ学園」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/ハレンチ学園
  19. Wikipedia「キューティーハニー」 — https://ja.wikipedia.org/wiki/キューティーハニー